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第29話 禁忌

Penulis: 酔夫人
last update Tanggal publikasi: 2026-06-04 17:51:09
【ラーシュ視点】

王城地下深くに設けられた貴賓牢。

王侯貴族の収監を想定して造られたそこは、一般牢とは比べものにならないほど広く、豪奢な家具まで備えられていた。

もっとも。

床一面へ描かれた魔法陣は竜化と魔法を封じ、幾重にも張られた結界は逃亡を許さない。

どれほど豪華でも、牢獄であることに変わりはなかった。

ラーシュは無言で石造りの廊下を歩く。

数歩後ろにはオーレリウスと護衛たちが続いていた。

やがて最奥の牢の前で足を止める。

「これはこれは、陛下」

サリンドラ公爵はゆっくり立ち上がった。

収監されているというのに、手には上質なティーカップ。

まるで客人を迎える主人のようだった。

焦りはない。

恐怖もない。

その余裕がラーシュには滑稽に見えた。

「お気は済まれましたか?」

鼻で笑うような声音。

「建国以来、王家を支えてきたサリンドラ公爵家。その島へ騎士を踏み込ませるとは前代未聞」

公爵は優雅に紅茶を口へ運ぶ。

「このような暴挙、シーリア様がお許しになりますまい」

その名が出た瞬間。

ラーシュの胸を冷たいものが走った。

シーリア。

ラーシュの祖母。

そしてラーシュにとって、最も恐ろしかっ
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    最初の頃は執拗な拷問が行われた。連日のように番と偽ることができた理由を問い質した。シーラになるのは公爵令嬢としてのプライドだけで、蝶よ花よと育てられた彼女には痛みに対する耐性などなくシーラは次々と白状した。サリンドラ公爵を捕らえ、公爵家に調査の手を入れるのに十分な証言がとれるとラーシュはここに通わなくなった。シーラから香るサラリアの匂いが不快だったし、シーラに対しての興味もなくなっていた。ラーシュの中にシーラに対する復讐心がなかったとは言わない。だが『ざまあみろ』と言って消えたサラリアを思い出すたび、自分の復讐はただの八つ当たりだと思うようになった。シーラから始まった今回の事件

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